Environmental 環境

生物多様性

生物多様性

基本方針

KJRMは、環境憲章において、地球が最大のステークホルダーであるとの認識のもと、「生態系がもたらす様々な恩恵の重要性を認識し、生物多様性への影響を緩和するとともにその保全に貢献」することを定めています。
自然環境と事業活動との関わりを踏まえ、保有する資産における緑地等の環境保全や地域環境への配慮などを通じて、生物多様性の保全に努めます。

TNFD提言に基づく情報開示

IIFでは、TNFDのフレームワークを参照しながら、自然関連情報の開示を行っています。開示提言を横断する一般要件に加え、「ガバナンス」「戦略」「リスクとインパクトの管理」「測定指標とターゲット」からなる開示提言の構成にならい開示情報の整理を行っています。

一般要件:開示情報に一貫性を持たせるために考慮することが期待される事項
ガバナンス:自然関連の依存、インパクト、リスクと機会に関するガバナンス
戦略:自然関連の依存、インパクト、リスクと機会が事業に与えるインパクト
リスクとインパクトの管理:自然関連の依存、インパクト、リスクと機会を特定、評価、優先順位付けし、監視するためのプロセス
測定指標とターゲット:自然関連の依存、インパクト、リスクと機会を評価し、管理するために使用する測定指標及びターゲット

一般要件

① マテリアリティの適用

Mission Statement及びサステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通じて取り組むべきサステナビリティの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。環境関連のマテリアリティとして「気候変動対応」「生物多様性」「レジリエンス」「水資源」「廃棄物」を特定しており、持続可能な社会の実現に向けた重要な課題として認識しています。マテリアリティの特定に際しては、当社事業への影響を軸に、ステークホルダー及び社会的重要性を考慮し優先順位付けを行っています。
詳細については「マテリアリティ」をご参照ください。

② 開示のスコープ

自然関連課題の分析にあたり、投資・運用している不動産を対象とし、不動産運用業を主な対象として分析・評価を実施しています。自然関連課題については、バリューチェーン全体を含めた分析が重要であると認識している一方、データ取得の制約や分析の複雑性も踏まえ、まずはIIFが保有・運用する資産を中心に、分析可能な範囲から段階的に取組みを進めています。
また、IIFの資産保有状況及び資産集積エリアを考慮し、習志野、藤沢、相模川、大阪を対象に、自然との接点や想定されるリスク・機会を概略的に整理しました。シナリオ分析では、全保有物件を対象として自然関連課題が事業活動へ与える影響について定性評価を実施しています。その上で、優先地域として特定したIIF湘南ヘルスイノベーションパークについて、重点的に自然関連課題の詳細分析を実施しています。

③ 他のサステナビリティ関連の開示との統合

気候変動、生物多様性を含む環境関連課題は、個別課題としてではなく、関連性やトレードオフを意識しながら統合的に取り組むことが重要であると考えています。
IIFでは、TCFD提言に基づく気候関連分析・開示を実施しており、今後、自然関連課題及び気候関連課題の統合を意識しながら、段階的に検討を進めていきます。

④ 対象期間

短期:1年
中期:~10年
長期:~2050年まで

⑤ ステークホルダーとのエンゲージメント

IIFは、多様なステークホルダーとの良好な関係の構築に取組んでいます。ステークホルダーへの取組み及びKJRMの人権に対する取組みについては、「ステークホルダーとのコミュニケーション」「人権への取組み」をご参照ください。

ガバナンス(TCFD・TNFDに基づく統合的な情報開示)

取締役会・投資法人役員会の監督体制

最高サステナビリティ責任者(CSO)が議長を務めるサステナビリティ委員会で決議・報告された内容については、CSOであるKJRMホールディングスの代表取締役社長が議長を務める取締役会(少なくとも3か月に1回開催)及び本投資法人の役員会(原則として毎月2回開催)に報告され、監視・監督されています。

サステナビリティ委員会

原則四半期に1回開催される委員会では、気候変動、自然資本を含むサステナビリティに関する重要な依存、影響、リスク及び機会について特定するとともに、方針、戦略、体制、サステナビリティ目標を決議し、KPIのモニタリングを行なうなどサステナビリティ活動の中心となっています。
詳細については、「サステナビリティ推進体制」をご参照ください。

エンゲージメント

自然関連課題等サステナビリティ課題への対応にあたり、地域コミュニティ、テナント、PM・BM等のステークホルダーとのコミュニケーションを重視しています。運用資産において、地域特性や周辺環境への配慮を踏まえながらエンゲージメントを実施しています。
また、サステナブル調達方針に基づき、IIFの事業活動に関連するサプライチェーンを含む調達活動において、人権の尊重及び生物多様性への配慮に取り組んでいます。
詳細については、「ステークホルダーとのコミュニケーション」「サステナブル調達方針」をご参照ください。

リスクマネジメント(TCFD・TNFDに基づく統合的な情報開示)

環境関連のリスク等を特定し、評価する組織のプロセス

環境関連課題に関する依存と影響の状況、特定したリスクと機会については、事業活動や地域特性及び自然との接点を踏まえ整理・評価を実施しています。加えて、自然資本に関しては、要注意地域との関連性等を踏まえ優先順位付けを行っています。分析及び評価は、サステナビリティ担当者を中心にIIFの運用資産の特性を踏まえながら検討しています。現時点では、不動産賃貸業を中心に分析を実施しており、バリューチェーンを含む分析については、データ取得の制約や分析の複雑性を踏まえながら、段階的に検討を進めていきます。依存と影響の状況、特定したリスクと機会及びその影響度、優先地域については、サステナビリティ委員会で議論され、確定しています。

環境関連等のリスク等を管理するプロセスと組織的な取組み

サステナビリティ担当者を中心に、部門内あるいは他部門と連携し、実務担当者レベルで環境関連課題を含むサステナビリティ課題及び推進方法等について詳細な議論・検討を行なう場(以下「分科会」)を適宜設けています。分科会を通して、個別課題の検討や情報共有を行なうことで、担当者の課題認識と意識の向上を図るとともに、サステナビリティへの配慮を日々の投資・運用プロセスに融合させています。
分科会で議論・検討された事項は、サステナビリティ委員会に報告され、その進捗状況がモニタリングされています。
また、IIFでは物件の環境データを月次で収集し、モニタリングを行なっています。気候変動に対応する指標・目標及び取組みを含む、環境関連事項への取組み及び環境データの収集等については、環境管理システムを構築し、PDCAサイクルを実施することで継続的に取組みの強化・改善に努めています。
加えて、優先地域として特定したIIF湘南ヘルスイノベーションパークにおいては、物件内の緑地における自然環境の状況を把握するため、定期的に動植物の状態をモニタリングしています。

全体的なリスクマネジメントへの統合

主要なリスクに関連する事項について把握および検討し、対応策及び管理方針を策定する場として、資産運用会社の持ち株会社であるKJRMホールディングスにリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会は、シニアマネジメント等が委員を務めており、Risk Control Matrix(RCM)を活用し、3か月に一度各部門における気候変動や生物多様性を含む環境関連事項その他、業務執行に影響を及ぼすリスク及び機会の状況を確認の上、委員会で報告し、評価・管理を行う体制となっています。

全体的なリスクマネジメントへの統合

LEAPアプローチによる分析

LEAPアプローチ

IIFは、人間の生活や経済活動は、生物多様性を含む自然資本を基盤とし成り立っていると認識しています。
TNFD提言は事業活動と自然との関わりを特定・評価する手段として「LEAPアプローチ」を推奨しています。このプロセスを参考に自然との接点を踏まえた依存と影響の分析及び優先地域の特定を行いました。

依存と影響の整理

IIFの属するセクターにおける自然資本への依存と影響を確認するにあたり、TNFD提言において活用が推奨されている代表的ツール「ENCORE」を用いて、依存度と影響度を確認しました。直接操業として所有または賃貸物件を用いた不動産事業を対象に、配慮すべき自然資本への依存と影響を検討しました。検討においては、IIFにおける関連する取組みの実施状況も併せ考慮した上で、依存と影響を特定しています。

依存と影響のヒートマップ表
依存と影響のヒートマップ表
  • ※依存と影響のヒートマップ(ENCOREより作成)
    ENCORE Partners (Global Canopy, UNEP FI, and UNEP-WCMC) (2024). ENCORE: Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure. [yOn-line], July 2024, Cambridge, UK: the ENCORE Partners. Available at: https://encorenature.org.
    DOI: https://doi.org/10.34892/dz3x-y059.

現時点の分析では、視覚的な快適性を高依存の項目として評価しています。不動産事業では、居住者や利用者にとって魅力的な環境を提供するため、景観や緑地などの視覚的な要素が重要な役割を果たしていると考えています。自然が豊かな地域や公園など、自然環境に近い立地は、不動産資産の魅力を高める要素の一つと考えられます。また、不動産運用における土地利用や水使用を通じ、生物種、水、生息地に一定の影響を及ぼす可能性があることを認識しています。これら自然資本との依存と影響の関係を踏まえ、将来的に自然環境が変化することにより事業に与えるリスクおよび機会を抽出しました。

自然との接点

自然に関連する3つの評価軸設定し、IIFの全保有資産を対象に評価を実施しました。その結果をもとに優先地域の候補を選定し、要注意地域との関連性や取得価格等といった自社の考慮事項を踏まえ、IIF湘南ヘルスイノベーションパークを優先物件に特定しました。

自然との接点:評価項目

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評価項目 参照したデータ等
自然への依存・影響 ENCOREの評価、GHG排出量、水使用量、廃棄物量、土地面積
地理的位置 保護地域(自然保全地域、鳥獣保護区、重要海域等)、生物多様性重要地域(Key Biodiversity Area)
水リスク Aqueduct water risk atlas(Water Stress)

ENCOREの評価から事業と自然資本の依存・影響関係を把握するとともに、GHG排出量、水使用量、廃棄物量、土地面積については定量データを用いて各物件の環境負荷を評価しました。また、物件と保護地域等と位置関係を踏まえた保護地域等への影響リスクや、物件が位置するエリアの水リスク(流域における総取水量÷再生可能な水資源量)についても確認し、将来的な事業リスクの観点を踏まえて総合的に評価しました。

戦略

シナリオ分析

IIFでは、自然関連課題が事業活動へ与える影響を把握するため、TNFD提言を参考にシナリオ分析を実施しています。
TNFD提言では、「自然関連のリスクと機会に対する組織の戦略のレジリエンスについて、さまざまなシナリオを考慮して説明」することが求められています。一方で、TCFD提言のような統一的な規範シナリオは存在しないことから、TNFD提言及び外部シナリオを参照し、以下の2つのシナリオを設定しました。

自然回復シナリオ

自然への関心の高まりにより施策が定着し、全体として自然は維持・回復するが、一部脆弱な地域では劣化が残る。

  • 生態系・生物多様性の保全が進展
  • 都市部でも緑地・生物多様性配慮が進む
  • 災害リスクは抑制、適応が進展
  • 台風・洪水・猛暑日などは一定程度増加
自然劣化シナリオ

自然劣化が進行し事業影響が顕在化しつつあるが、政策は浸透せず、対策は場当たり的に留まる。

  • 生態系・生物多様性の劣化が継続/加速
  • 台風・洪水・猛暑などの被害が深刻化・頻発化
  • 水資源制約の顕在化
  • 都市環境の悪化(ヒートアイランド等)

【参照した外部シナリオ・資料】
■移行リスク・機会
TNFD「TNFD提言」
IPBES「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」(2019年)
環境省「生物多様性国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価」(2026年2月)

■物理的リスク・機会
ENCORE

IPBES「生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書」(2019年)は、生物多様性の現状・原因・将来を科学的に示し、私たちが直面する自然の劣化と持続可能な社会の実現に向けた困難な道のりを指摘する一方、社会変革による持続可能な社会の実現の可能性を示唆している報告書です。今回は、本書の科学的な自然の将来予測を参照し、シナリオ分析を行いました。また、国内における生物多様性の状況や課題、今後の方針の把握には、環境省「生物多様性国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価」(2026年2月)を参照しました。

「自然回復シナリオ」及び「自然劣化シナリオ」を基に、関連するステークホルダーの行動変化を定義しています。

【自然回復シナリオ】
移行リスク:↑ 物理的リスク:↓
【自然劣化シナリオ】
移行リスク:↓ 物理的リスク:↑
行政

規制強化とネイチャーポジティブ政策の制度化

  • 生物多様性関連規制が体系化・強化
  • ネイチャーポジティブの義務化・優遇措置など誘導政策の実施
  • 開発規制(緑地設置・土地利用制限)が強化
  • 都市開発における自然配慮が標準化

予防策不足と突発的な規制強化の発生

  • 災害対応中心で予防的政策は限定的
  • 規制強化は部分的であり、後追いで導入
  • 突発的な規制強化(開発制限等)が発生
投資家・金融機関

自然資本リスクと機会を反映した資金配分の進展

  • 気候・自然関連開示が標準化
  • 自然資本リスクの評価が投資判断に組み込まれる
  • グリーン/ネイチャーポジティブ不動産への資金拠出が拡大・活発化
  • 自然配慮に対する評価ウエイトの向上

物理的リスク重視した投資判断の厳格化

  • ハイリスク資産(災害・水リスク)からの投資引き上げ
  • 物理的リスクに対する評価ウエイトの向上
テナント

グリーンリース拡大と環境配慮型オフィス需要の増加

  • 自然配慮・環境性能の高いビルの選好が強まる
  • 入居時に自然配慮や環境認証の有無のスクリーニングを実施
  • グリーンリースの増加

安全性・BCP重視による保守的な物件選好

  • 安全性・レジリエンス・事業継続性(BCP)を重視
  • 災害リスクの高い物件からの撤退
  • ネイチャーポジティブよりもコスト・安全性優先の傾向
PM・BM

自然対応高度化に伴う運営負荷とコストの増加

  • ネイチャーポジティブ対応増加による業務委託費用の増加
  • 緑地管理・水管理の高度化
  • 自然関連指標のデータ管理の高度化により、初期に体制整備のためコスト増

災害対応・資源制約対応の増加による運営負荷とコストの増加

  • 災害によるBCP対応や修繕対応などの増加に伴う業務委託費用の増加
  • 水あるいはエネルギー制約への対応が増加
不動産関連業界

環境規制対応の強化とサステナビリティ対応の加速

  • 炭素税の導入等の環境関連規制への対応の増加
  • 環境性能が低い物件への投資制限
  • 物件での生物多様性や環境配慮への取組みを推進
  • サステナビリティ関連のファイナンス、グリーンリースの活発化

物理的リスク拡大による資産選別とコスト増の進行

  • 災害・水不足等の影響により物件間のリスク格差が拡大
  • 修繕・保険のコストが上昇
  • 高リスクエリアあるいは防災性能の低い物件への投資制限
  • BCP対応やレジリエンス強化への対応の増加

これらのシナリオを踏まえ、自然関連課題がIIFの保有・運用資産へ与えるリスク及び機会について定性的な分析を実施しました。また、識別したリスク及び機会に対する対応策の整理を行っています。

財務的影響の検討及び対応策

IIFは、直接操業として保有する資産を対象に、自然関連課題が事業活動へ与える影響について定性評価及び対応策の検討を行いました。

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分類 リスク・
機会項目
キャッシュフローの変化
(定性表現)
リスク・機会 1:自然回復シナリオ 2:自然劣化シナリオ 対応策
中期:~10年 長期:2050年 中期:~10年 長期:2050年
移行リスク・機会 政策 法規制対応コストの増加 環境規制の強化による対応コストの増加 リスク 中 中 - 中
  • 規制動向を踏まえた対応の実施
  • 環境認証、省エネ格付けの計画的取得と更新
  • 緑地整備、維持管理の推進
  • 設備更新時の環境性能の高度化
  • 環境データのモニタリングと改善活用
  • 自然配慮、環境性能の向上と維持に対する施策の検討と実行
  • 上述施策に対する継続的な情報発信
運用時における環境対応費用の増加(認証取得・緑地管理等) リスク 小 中 - 小
環境規制対応による物件競争力の向上 機会 小 中 - 中
市場 自然に対する市場参加者の意識の変化 環境負荷の高い物件への評価の低下による資金調達コストの増加 リスク 小 中 - 小
テナントの自然に対する意識の変化 入居時に自然配慮・環境性能に関するスクリーニングの実施による環境性能の低い物件での空室期間の長期化 リスク 小 中 - 小
自然配慮・環境性能の高い物件の鑑定評価額・平均賃料の上昇 機会 小 中 - -
技術 環境負荷軽減技術の普及 環境負荷軽減対応による各種導入コストの増加 リスク 小 大 - 中
  • 環境技術動向を踏まえた導入方針の検討
  • 高効率機器、省エネ設備の計画的導入
  • エネルギー使用等の最適化によるコスト削減
  • 環境データのモニタリングと改善活用
  • 設備導入時の補助金や税制優遇措置の活用
  • グリーンリース等の活用
環境負荷軽減対応による水光熱費等のコストの軽減 機会 小 大 - -
評判 環境対応の遅れによる信頼性の低下 環境負荷の高い物件の資産価値の低下 リスク 小 中 - 中
  • 環境認証、省エネ格付けの計画的取得と更新
  • 規制を踏まえた設備投資等による環境性能および緑地の確保
  • 環境データのモニタリングと継続的な改善
  • 設備更新時の環境性能の高度化
環境対応の遅れに伴う周辺環境への悪影響により、訴訟対応コストが発生 リスク 中 中 - 中
  • 環境関連規制の順守
環境対応の推進により周辺環境の質が向上し、選好性の向上を通じて収益増加・資金調達コストが低減 機会 小 大 - 小
  • 緑地整備、管理による周辺環境価値の向上
  • 環境性能および自然配慮に関する適切な情報開示
  • 環境性能の高度化を通じた物件競争力の強化
物理的リスク・機会 急性リスク 台風・集中豪雨・高潮・洪水・浸水の増加 修繕・予防対応コストおよび保険料の増加 リスク 中 中 中 大
  • 自然災害リスクの評価と対策の実施
  • 修繕、更新の優先順位付けと計画的実行
  • 防災、減災による被害軽減と事業継続性の確保
  • BCPの整備、訓練の実施によるレジリエンス強化
BCP対応やレジリエンス強化への対応の実施による市場競争力の向上 機会 小 中 小 中
感染症の発生 営業損失に伴う賃料の減少 リスク 小 中 中 中
慢性リスク 平均気温の上昇 冷房需要の増加による空調のメンテナンス・修繕費用および水光熱費の増加 リスク 中 中 中 中
  • 空調負荷増および降水量増に対応した定期点検の実施や計画修繕
  • 高効率空調機器の導入
  • 空調運用の最適化による省エネと快適性の確保
  • 耐久性の高い防水、浸水対策の実施
降水量の変化 営業損失に伴う賃料の減少 リスク 小 中 中 中

なお、自然関連課題による短期的な影響については、現時点では限定的であると認識しています。
自然関連課題に関する定量分析の実施や、バリューチェーンを含む分析対象範囲の拡大については、外部環境やデータ整備の状況等を踏まえながら検討を進めていきます。

優先地域(IIF湘南ヘルスイノベーションパーク)における取組み

TNFD提言のLEAPアプローチを参考に、ポートフォリオ全体を対象として上記のシナリオ分析の通り、自然関連の依存・インパクトおよびリスク・機会を定性評価しました。加えて、自然関連課題は地域性が高いことから、優先地域については、別途、地域特性に即した詳細な評価を実施しています。IIFにおいては、優先地域として特定したIIF湘南ヘルスイノベーションパークを対象に、以下のとおり評価を行いました。
IIFの物件が所在するいずれのエリアも要注意地域の基準に1つ以上該当するため候補地となり得ますが、緑地規模、認証の取得状況(2025年:地域生物多様性増進法に基づく 「自然共生サイト」(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域)取得 )、周辺自然との関連性及びその他自然への依存・影響の観点から、藤沢エリアの IIF湘南ヘルスイノベーションパークを優先地域として特定しています。

【移行リスク・機会】
自然共生サイト

政策|法規制対応コストの増加:協定に基づき、自治体と連携して環境保全に資する取組みを進めています。2025年には、敷地内の緑地が有する生物多様性の価値(在来種を中心とした健全な生態系の提供、希少植物の生育地としての機能)が認められ、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域)の認定を受けました。

市場|市場参加者・テナントの自然に対する意識の変化

市場|市場参加者・テナントの自然に対する意識の変化:緑地管理方針に準拠し、樹木・草地の保全、希少種の保全、園路の維持を、専門機関と連携しながら実施しています。定期的に緑地の一部を地域住民に開放するなど、地域に開かれた緑地としての活用を進めています。また、LED照明の使用により光害の抑制に努めています。

市場|地域連携・生態系ネットワーク:IIF湘南ヘルスイノベーションパーク内の緑地である「湘南アイパーク緑地」は、周辺の宅地化が進むなかで残された貴重な樹林環境として、地域のエコロジカルネットワークの拠点に位置づけられます。希少植物・昆虫類のモニタリングを専門機関と連携して行うとともに、生物多様性に配慮した草刈り・剪定を通じて、在来種を主体とする多様な生態系の基盤づくりを進めています。また、定期的に緑地の一部を地域住民に開放し、地域と自然とのつながりの場を提供しています。

キンラン
キンラン
営巣(メジロ)
営巣(メジロ)

1990年頃の衛星画像と比較すると、IIF湘南ヘルスイノベーションパークの西側や北側は住宅地へと変容したことが分かります。周囲の土地開発が進む中、IIF湘南ヘルスイノベーションパークは、これまで敷地内の緑地保全に努めてきました。2025年には、当物件の緑地が希少植物保全や多様な在来動植物の生息地としての機能の他、地域住民の方々に自然との触れ合いを提供する場として重要な役割を担っていることが認められ、「自然共生サイト」認定を受けました。

IIF湘南ヘルスケアイノベーションパーク周辺の土地変遷

1990年頃
1990年頃
出典:国土地理院撮影の空中写真(1987年~1990年撮影)
2024年頃
2024年頃
出典:国土地理院ウェブサイト

技術|環境負荷軽減技術の普及:IIF湘南ヘルスイノベーションパークは、研究施設としては初めて国土交通省の住宅・建築物省CO2推進モデル事業に採択された、環境に配慮した建築です。自然エネルギーを活用したパッシブデザインや省エネルギーに資するアクティブ技術を採用するとともに、2021年には電力調達をRE100の基準に準拠した再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えています。

評判|環境対応の遅れによる信頼性の低下:エンジニアリングレポートにより、水質・土壌汚染等の自然への影響リスクを確認しています。また、薬剤・除草剤は生態系への影響に配慮して低毒性のものを選定し、害虫等の発生時に最小範囲でスポット的に使用するなど、化学物質の適正な管理に努めています。

【物理的リスク・機会】

急性|台風・集中豪雨・高潮・洪水・浸水の増加:ハザードマップにより、浸水・洪水リスクを確認しています。

急性|感染症の発生:都市部に残る屋外緑地の整備を通じて、周辺環境の快適性向上に寄与しています。

藤沢市の地表面温度分布(2025年夏期)
藤沢市の地表面温度分布(2025年夏期)

慢性|平均気温の上昇:5haを超える規模で維持されている樹林(クロマツ・コナラ・マテバシイ等の高木)が、周辺住宅地における貴重な緑の拠点として、ヒートアイランド緩和に寄与しています。

IIF湘南ヘルスイノベーションパーク周辺の夏季の地表面温度の違いを比較しました。湘南アイパークの緑地帯は、隣接する宅地と比較すると、最大約10℃の温度の違いがありました。湘南アイパークの緑地は、ヒートアイランド緩和の役割を担っていることが分かります。

  • 出典:Google Earth Engine(Landsat 8、USGS/NASA)より作成

慢性|降水量の変化:緑地の保水機能により、降水量変化への適応に寄与しています。気候変動シナリオを定期的に見直しながら、対応を検討しています。

指標と目標

IIFは、以下の通り環境関連の指標及び目標を設定しています。
今後TNFDが提言する開示指標を参照し、自然関連の依存、影響、リスク及び機会を管理するための指標について、継続して検討していきます。

この表は左右にスクロールできます。

指標 目標 実績 TNFD測定指標番号
GHG排出量 2021年度対比でGHG総排出量を42%削減
対象:Scope1&2(目標年:2030年)
環境パフォーマンス ー
水使用量 水使用量の削減
2021年対比で原単位ベース±0%(目標年:2030年)
C2.1
本投資法人が管理可能な物件におけるリサイクル率 2022年度対比で向上(2022年度リサイクル率40.5%) C2.2
生物多様性認証 取得済み認証の維持 生物多様性への取組み C1.1
環境認証取得割合 物流施設の認証取得割合70%以上
ポートフォリオ認証取得割合60%以上
(目標年:2030年)
環境認証 A15.0

生物多様性への取組み

IIFの保有物件では、生態系がもたらすさまざまな恩恵の重要性を認識し、自然資本への影響を緩和するとともにその保全に貢献するため保有物件への緑地帯の設定や土壌汚染の有無の確認等を行っています。

生物多様性の取組事例

IIF湘南ヘルスイノベーションパークでの取組み

IIF湘南ヘルスケアイノベーションパークでは、毎週日曜日に緑地の一部を地域住民に開放し、地域の方々が自然に触れながら散策を楽しむことができる場を提供しています。
IIF湘南ヘルスイノベーションパーク内の緑地、湘南アイパーク緑地は、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」(民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域)に認定されました。また、2026年8月には、OECMとして国際データベースに登録されました。

自然共生サイト

OECM(Other Effective area-based Conservation Measures):民間等の取組みにより保全が図られている地域等で自然環境を守ることに貢献している地域。海洋及び陸域の保護地域及びOECMに関する包括的な国際データベースを基に、30by30目標(2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上の生態系を保全・保護しようとする国際的な目標)の達成状況が評価される予定となっています。
国際データベースについては、こちらをご覧ください。(英語サイト)

地域社会とのエンゲージメント
IIF 湘南ヘルスイノベーションパーク:
藤沢市、鎌倉市の両市との環境保全協定

緑地帯の設定

IIF 横須賀テクノロジーセンター
IIF 横須賀テクノロジーセンター

IIFの保有物件では、生態系がもたらすさまざまな恩恵の重要性を認識し、生物多様性への影響を緩和するとともにその保全に貢献しています。